ミルグラム効果(権威への服従原理)


ミルグラム効果は「権威への服従原理」とも呼ばれ、「専門家など社会的地位の高い人や権威ある人などの言動に影響され、それを正しいと思ってしまう」心理現象のこと。

多くの人は特に自分が知らない分野に対しては、専門家の意見や権威に影響されやすい。

マーケティングの分野で例を挙げることもできるが、以下のような考えから、私たちはマーケティング企画などの中でこの効果を説明に利用するのは適切ではないと考えている。

 

 



ミルグラム効果(権威への服従原理)の実証


 

「ミルグラム効果」の名称はアメリカの心理学者スタンレー・ミルグラムの名から取られている。そして実証実験としては「ミルグラムの電気実験(アイヒマン実験)」が有名である。

この実験はナチスドイツにてホローコーストが起きたメカニズムを実証するために行われたもので、ホロコーストの実行責任者であったとされるアイヒマンの名からアイヒマン実験とも呼ばれている。

内容は、「権威者の指揮下では、人は非道徳的な残虐な行為でも実行してしまう」ことを実証したものであり、実験の内容および実験自体が社会的に不適切であるという議論にもなった実験である。

今までに映画やドラマにも多く取り上げられている。

 


ミルグラム効果とマーケティングについて


コスメや健康食品のような商品のマーケティングにおいては、医師など権威者の推薦によって、「権威者が言っているのだから正しいはずだ」という心理を選択の決定に繋げる手法がよく採られている。

特に、判断に迷っている人や対象商品に詳しくないターゲットに有効な手法として知られ、この点では、ミルグラム効果はマーケティングに影響していると言えそうである。

しかし、「ミルグラム効果」とは、上記の実証実験に名前が由来しているように、単に人が権威者の情報を信じるというよりもネガティブな意味を含む。

また、情報を正しく判断できない状態に置かれることで、行動がコントロールされてしまうことを指しているので、一般的なマーケティング施策を説明するには適していないであろう。

 

私たちは、マーケティング施策においては、ミルグラム効果と似た効果がある以下ような他の心理効果で説明することにしている。

 

ハロー効果・・・権威ある特徴や情報が、それ以外の部分にまで影響する

同調現象・・・周囲と同じ行動をとることで安心する

社会的証明の原理・・・多数の意見を正しいものと感じ、追従する

 



マーケティングに役立つ心理学