気分一致効果は、感情によって行動に影響が出る心理効果のこと。つまり、いい気分のときにはポジティブな言動をしやすく、悪い気分の時にはネガティブな言動をすることが多いというものだ。
そしてこの気分一致効果は、過去や未来の感情にも働くとされている。例えば、過去の楽しい出来事を思い出している時や、これからの起こりそうな楽しいことを期待している時などのワクワク感によっても、現在でポジティブな行動を起こすとされている。
マーケティングの領域で気分一致効果は、ブランドのイメージ作りや購買意欲の喚起などに常に活用されている。
「いい気分の時に表示された広告には関心が向きやすい」という理論から、人が楽しい気分になれたり、気持ちが高揚したりする場面で掲載される広告は、ポジティブ行動を促すのに効果的とされる。
そのため、これらの広告媒体は料金が高く設定される。
例)
・元気に盛り上がるイベント
・多くの人が注目するスポーツ
・多くの人がワクワクできるドラマなど
気分一致効果は購買決定に影響する場合もある。いわゆる「気分のいい時はお財布の紐が緩む」という現象のこと。
商品が並んでいる店内やWEBショップの画面の前では、ターゲットに「楽しくポジティブな気分」になってもらうように、装飾や陳列がするのが効果的と考えられている。
販促や啓蒙広告では一部、”不安を煽る”手法も存在するが、気分一致効果の観点では、ポジティブな気分づくりが基本。気分一致効果をマーケティングに活用する場合は、商品を購入させることだけでなく、長期的に商品やブランドに対してポジティブや好印象をもってもらうことも狙う。
具体的なマーケティング手法の中から、気分一致効果を狙うことができるものの例を挙げる。
WEBマーケティングにおいて、ネットショップで購入手続きが完了した時点で表示される「決済完了画面」への広告は、クリック率が大きく上がるとされている。
「手続きが無事に完了したか画面に注目するため、広告も認知されやすい」という要因もあるが、そ「買い物による快感」という気分一致効果も大きく作用していると考えられている。
アメリカでは「スーパーボウル」中継番組のTVCM料金は破格に高い。日本でもオリンピックや世界大会はもちろん、野球やサッカーなど人気のスポーツの試合では同様である。
スポーツ番組は視聴者数が多いことに加え、試合の興奮が気分一致効果を生み、CMで流れる商品への好反応に繋がるとされている。
誕生日付近に送られるDMは、反応率が高いとされている。誕生日は本人にとって特別な日であるので、気分が盛り上がりやすいことが理由。
テレビショッピングでは、司会が元気に話したり、明るい音楽が流れたり、体験者の感動的なストーリーによって演出される。視聴者の気分も盛り上げることで、購入へと向かわせる気分一致効果を意識している。
ショッピングセンターなどで行われるノベルティ配布や無料サービスによっては、「ちょっと得をした」と感じる気分一致効果が働く。それによって「何かが買って帰ろう」という気持ちが生まれるだけでなく、以降も気分一致効果は続き、その時購入した製品への愛着や満足度も高まるとされている。
※心理学の作用は、マーケティング企画が必ず成功するなど、すべての人の行動に当てはまるものではありません。多くの効果にはその逆に当たる現状がと存在します。あくまでも、マーケティングの施策を検討する際の一つの考え方・方向性として活用してください。