マーケティングDXは、マーケティングに対してDX(=デジタルトランスフォーメンション)を行い、その業績や成果をアップさせることです。単なるデジタルプロモーションなどのいわゆる「デジタルを使ったマーケティング施策」とは区別し、より根本的な改革を実現するものを指しています。
「DX=デジタルトランスフォーメーション」とは、デジタル技術を使った産業変革です。
製品やサービス、ビジネスモデルなどをデジタル化によって変革し、さらにそれらが企業の業務そのものや企業風土などまでも変革することとなり、結果としてビジネスの競争上の上位に立つことを目指すものです。
スウェーデンのエリック・ストルターマンが提唱した概念だとされ、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」と定義されています。
デジタルトランスフォーメーションの英語の綴りは、Digital Transformationですが、DTではなくDXと略されます。
理由としては、TransformationのTrans(=交差する)を1文字では「X」で表す慣習があること、さらにDTはプログラミング用語とかぶってしまうためということのようです。
DXは、単にデジタルを活用して効率をあげることとは区別して語られます。デジタル化が単にデジタルツールを使用することなのに、デジタルトランスフォーメーションはビジネスモデル・産業構造までも変革します。
例えば、Uber Eatsは、今まで実店舗に行かなければ食べられなかった食事を、デリバリーにより好きな場所で楽しめるスタイルをスマホやPCそしてインターネットの活用によって可能に、コロナ禍のような社会状況にも対応する飲食業界を生み出しました。
マーケティング(=商品の販売・開発・宣伝など)もデジタル化が急速に進行しています。今までは「デジタルプロ―モーション」と呼び、宣伝手法の一つとして捉えることが多かったとと思いますが、今や、広告宣伝はもちろん、販売からユーザー分析、ユーザーとのコミュニケーションまで、デジタルで行うことが基本となりつつあります。
そのような中で、どのようにデジタルを活用すれば、宣伝・販売の成果をあげられるかを検討・実行することがマーケティングDXです。
マーケティング業務の中でのデジタル化の大きなメリットは、ユーザーのデータを収集しやすくなることです。具体的には、購入履歴、利用者の声、関連行動などが挙げられます。そして、そのユーザーデータを分析して、販売業績を上げたり、さらに有効な商品開発に繋げることができてはじめて、DXが成功したと言えるのです。
ユーザーデータの収集
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適切な分析・考察
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適切なターゲットとコミュニケーション
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効率的な販売
このサイクルをデジタル化により素早く繰り返し、成果を高めるがマーケティングDXのメリットです。
BtoCビジネスの世界は、Amazonや楽天のような大型ECモールの普及をはじめ、今や多くの企業にとってネットショップがあることがスタンダードとなっています。
個々では、ユーザーデータがデジタルで収集されるので、まさにマーケティングDXが最も重要になってきます。
「ネットで購入するのは一部の人(ネットに詳しい人)」だった時代から、「だれもがネットショップを利用する」ようになった今、販売促進活動をDXすることで競合に差をつけることはすべてのBtoC企業に当てはまる課題となりました。
BtoBビジネスにもマーケティングDXは影響します。
いわゆる「営業」と呼ばれる、取引先の獲得、販売強化に対して、デジタル化によって効率を高めようとするものです。
しかし、特に日本ではこのBtoBビジネスのマーケティングDXは、遅れがちだと言われています。
得意先とのコミュニケ―ションは、足を使って顔を合わせて行うものという考え方が根強いという側面もあります。
また、今までの営業スタイルを変えることが難しい、デジタル化することによって成果が上がる保証がない(成果が出ていない)、などによって企業としてDXを本格的に営業に活用している会社は多くはないようです。
確かに、企業のHPを作っただけで、どんどんネットから引き合いが来るということはないでしょう。しかし、社会生活のデジタル化が進むことは、ビジネスパーソンの生活もデジタル化するということで、いずれどんなビジネス営業もデジタル化が当たり前になってきます。中小企業を中心に、そのデジタル化に流れに取り残されないように、営業のDX化は急務と考えられます。