マーケティングにおいて心理学は、「消費者はどんな理由で行動を起こすのか」のような消費者(人)の行動の傾向を知る助けとなり、実際の施策には様々な心理学が活用されている。
ここでは、販促施策、セールストーク等で効果を発揮している心理学を紹介。
希少性の原理
人は、数量や時間が限定されているものに価値を感じ、欲しくなる傾向がある。
例: 「期間限定」「在庫わずか」などの文言を使う。
人は、他人が行っている行動を基に、自分の行動を決める傾向がある。
例: レビュー、口コミ、ベストセラータグ、「〇〇万人が購入」など。
返報性の原理
人は、相手から何かを受け取ると、それに応えたいと感じる。
例: 無料サンプルや特典の提供。
最初に提示された情報が基準(アンカー:錨)となり、その後の判断に影響を与える。
例: 「通常価格10,000円が今なら7,000円!」
権威の原理
人は、権威ある人物や専門家の意見を信じやすい。
例: 専門家の推薦、ブランドアンバサダーとして有名人を起用。
人は、得られる利益よりも、失う可能性のあるものを避けることに強く反応する。
例: 「今だけ逃すと損!」、「この機会を逃さないでください」
フレーミング効果
情報の提示方法によって、人々の判断が変わる。
例: 「80%の成功率」と「20%の失敗率」ではポジティブな表現が選ばれやすい。
一貫性の原理
人は、自分の過去の行動や発言と一貫性を保とうとする。
例: 「以前お試しいただいた〇〇はいかがでしょう?」とリマインドする。
人は、繰り返し目にするものに対して好意を抱く傾向がある。
例: 広告を頻繁に表示する(適度に)。
ピークエンドの法則
人の体験の記憶は、ピーク時(最も感情が高まった瞬間)と終了時の印象に左右される。
例: 購入体験の終わりに「感謝メール」や「おまけ」を提供。
人は情報を受け取る時に、本人よりも他人が発信した情報の方を信用する傾向がある。
例:商品レビュー、インフルエンサーによる商品紹介
人はレベルに差のある3つの選択肢を提示された状況では、真ん中を選ぶことが多い。
例:一番売りたい価格を真ん中にした3段階の選択肢になるように価格を設定。
大きな決断や目標達成などの緊張が解けた直後に気の緩みがおこること。
例:高級車を購入した際のオプション、レストランでの追加ドリンクセット
人は、選択肢の数が多ければ多いほど、その中から選択し、決断することが難しくなる。
例:メニューを減らす、「おすすめ商品」など商品数を絞って紹介する。
他者とは違うものを持ちたいという心理から、多くの人が持っているものに対して購買意欲が減少する現象。
例:数量限定販売
心理学は、以下のようなマーケティング企画のシーンに役立てることができる。
商品を知ってもらう、理解してもらう、買ってもらうなどの企画目標に対して、消費者の行動の傾向を考慮することで、具体的な施策の方針を立てやすくなる。
例)
・選択肢の数をいくつにするべきか・・・松竹梅の法則、決定回避の法則
・商品の特徴や優位点を印象付けたい・・・アンカリング効果、ハロー効果
マーケティング活動の中で、特に決定権限者が別にいる場合は、企画をプレゼンする必要がある。
その際に、マーケッター独自の知見やセンスで訴えるよりも、心理学の理論を利用すると訴求力の強化が期待できる。
特にマーケティングの施策においての心理学は、人々がどのように考え、行動するのかという心理傾向を理解し、企画の狙いをハッキリさせたり、説得力を増したりする一助となるものであり、人の行動を予知するものではない。
また、心理理論(効果や法則)には、その逆の現象が同時に存在していることも多くある。
ここで紹介したそれぞれの理論は、マーケティングの施策を検討する際の考え方の一つの方向性である。